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2022年11月14日

SDGsに関する障害のある方の認知度調査

ミライロ

ミライロではこの度、SDGsの認知度や興味度を測る調査を行いました。障害者視点でのSDGsへの考え方を知ることが出来ましたので、その概要をご紹介します。

調査の背景

SDGsのロゴ

近年「SDGs」に向けた取り組みがテレビや雑誌などのメディアでも多く取り上げられるようになりましたね。この記事をご覧になっている方の中には、すでに個人や会社の取り組みで活動しているという方もいらっしゃるかもしれません。

このSDGsに関連した調査は多くの企業で行われていますが、障害者やマイノリティ視点でのSDGsに関する調査はあまり行われていないのが現状です。

ミライロ・リサーチでは、障害当事者の目線からSDGsについての調査を行い、どのような目標に興味関心があるのか、どのような活動を実際に行っているのか、企業のSDGs活動する印象なども含め明らかにすることで、企業が今後のSDGs活動を考える際のヒントになるように、無料公開しました。

調査結果レポートはこちら

調査概要

【調査目的】障害のある方がSDGsをどのように認知しており、興味を持っているのかを明らかにする
【調査日】2022年7月21日(金) ~ 31日(金)
【調査対象】ミライロ・リサーチモニター(障害のある当事者モニター)
                    ミライロIDユーザー
【総回答数】994人
【調査手法】Webアンケート

調査結果サマリー

[1]全体の9割が「SDGs」という言葉の「詳しい内容まで知っている」「名前は知っているが詳細は知らない」と回答。

[2]SDGsの目標のうち、もっとも興味関心があるものとしては、 目標3「すべての人に健康と福祉を」が全体の3割と最も多く回答を得た。

[3]障害のある方への理解や、誰かが困っているときに声をかけるなどの小さなアクションから実践しているという声が多く見られた。その他は、自身の障害や境遇から、同じ障害がある人への支援等を行っている方が数名いた。

[4]「SDGs」に取り組んでいる企業や団体への印象としては、
約9割の人が印象が良い(とても良い・やや良い)と回答。
特に、目標3「すべての人に健康と福祉を」に取り組む企業の印象が良いという回答が多く、目標8「働きがいも経済成長も」も次いで印象が良いとの回答が得られた。

SDGsの認知度について

認知度について尋ねたグラフ

 

SDGsについての認知度を聞いた質問では、87の回答者が「詳しい内容まで知っている」「名前は知っているが詳細は知らない」と回答しました。原因としては、メディアでもよく取り上げられるようになったことや、SDGsの目標の中に、自身の障害などに直接関連する指標があることが考えられます。

最も興味がある目標

最も興味のある項目について調べたグラフ

SDGsの目標の中でもっとも興味関心があるものを聞いた質問では、目標3「すべての人に健康と福祉を」が全体の3割と最も多く回答を得ました。次いで、目標1「貧困をなくそう」目標8「働きがいも経済成長も」にも回答が集まりました。障害者雇用などの関係で、快適な生活に十分な賃金が足りていない・働き方について不満がある層からの意見が集まったのが一因と考えられます。

個人で行っているSDGsに関する活動

SDGsに取り組んでいる企業への印象調査グラフ

 

実際に行っているSDGsに関する活動としては、目標12「つくる責任 つかう責任」目標15「陸の豊かさも守ろう」の、個人でも簡単に始めやすい活動(ゴミを減らすなど)が多く票を集めました。

その一方で、自身の障害や境遇と関連する支援を行う活動などを本格的に行っている方も数名見られました。(ボランティア活動や、同じ障害のある学生支援団体、障害者雇用の管理など)

そのほか、障害のある人の理解や困っているときに声をかけるなどの思いやりを含めた小さなアクションから実践しているという声も多くありました。

SDGs に取り組んでいる企業や団体への印象

SDGs に取り組んでいる企業や団体への印象を聞いた結果グラフ

 

「SDGs 」に取り組んでいる企業や団体への印象としては、88%の人が印象が良い(とても良い・やや良い)と回答しました。

特に、目標3「すべての人に健康と福祉を」に取り組む企業の印象が良いと回答した方が多く、目標8「働きがいも経済成長も」も次いで印象が良いとの回答が得られました。

アクションの種類としては、自身に関連すること(障害・働き方など)を解決しようとしている企業が好印象という意見が多かった。また、公表している活動指針と実際の活動内容が合致していることや、継続的に活動している企業の印象が良いという意見も見られた。

最も興味関心がある目標と選んだ理由
※自由記述抜粋

最後に最も興味のある目標とその理由についてお聞きした質問から、一部抜粋して紹介いたします。
 
  • 目標3:すべての人に健康と福祉を
    もし身体が故障しても、貧困の不安や、社会的階層の転落への恐怖を感じなくてよいならば、この世に生まれてきた1個の人間として、誰もが自分の意志に基づいて生き方を決められる。それはとても価値のあることだと思うから。(20代、内部障害)
  • 目標4:質の高い教育をみんなに
    高等教育を受けられる社会であってほしい。高等教育を受けて修了することで、差別的な扱いを受けづらくなるため。障害の有無に関係なく社会に認められるため。(20代、下肢障害)

  • 目標11:住み続けられるまちづくりを
    中途で障害者になったことでいかに「日常」が障害者の存在を考えられてない作り方をされていることを肌で感じたため(50代、下肢障害)

  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
    自分の障害として、汗をかきづらい、気温を感じにくいなどがあり、毎年夏バテするのが悩みですが、年々地球温暖化に伴い夏バテがひどくなっている気がします。自分の体調とも強く関係するものなので、興味・関心があります。(30代、体幹障害)

ご自身の障害に関係して、直接それが絡む目標を挙げてくれた方もいれば、派生して環境などの問題を考えている方もおり、非常に興味深い結果が表れました。

まとめ

SDGsの認知度は9割近くと大変高い傾向にあり、多くの注目を得ていることが分かりました。

また、SDGsに取り組む企業への印象度は高かったものの、口だけにならず持続的に取り組むべきという厳しい意見も多数見れました。

調整全体を総じては、調査員の予想と同じ回答もあれば、全く想像できなかった意外な回答もありました。

特に、自身の障害や境遇に関連する目標に興味を持っている人が多い中、そこから環境・廃棄の問題や、気候問題への興味を示している方も一定数見られました。目標ありきではなく、自分の状況に関連してさまざまなSDGsの目標に間接的に関心を持っておられることが分かりました。

SDGs活動は何から始めていいのか分からなかったり、取り組みにくい側面や難しく見える面もあったりしますが、まずは自身の身近なところから少しずつ始めていくこともできます。

より詳しい調査内容は以下の調査結果をダウンロードしてご確認ください。

調査結果レポートはこちら

 


 

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