
災害は、ある日突然やってきます。
しかし、同じ災害が起きても、「困りごと」は人によって違います。今回、花王株式会社がデジタル障害者手帳アプリ「ミライロID」を通じて実施した防災に関するアンケートには、障害のある方からたくさんの声が寄せられました。
・避難所まで辿りつけないかもしれない
・警報や緊急案内が届くのか不安
・停電すると家の中でも安全に動けない
・水が止まると衛生環境が心配
寄せられた声はどれも切実で、同時に障害の有無に関わらず、“誰もが抱える可能性のある悩み”でもありました。
また、「1月17日」は防災とボランティアの日であり、阪神・淡路大震災が起きた日です。本記事では、アンケートから浮かび上がった防災の実態と、日常生活から備えられる工夫をお伝えしたいと思います。
※本記事は、2025年5月に花王株式会社コンシューマーインテリジェンス室がデジタル障害者手帳「ミライロID」のアンケート機能を活用して調査を行った結果を用いています(ミライロIDのアンケート機能についてはコチラ)
目次
- 災害が起きたとき、「何に困るか」は一人ひとり違う
- 見えてきたのは、「日常のちょっとした工夫」が大きな安心につながるということ
- 在宅避難を前提にした備えが大事
- 暮らしの備えを“一緒に考えてくれる”心強い味方
- “困りごと”に寄り添うことで、暮らしの安心は大きくなる
災害が起きたとき、「何に困るか」は一人ひとり違う
アンケートを分析していくと、不安は大きく次のようなテーマに集約されます。
情報が届くかどうか
・聴覚障害があるため防災無線が聞こえない
・視覚障害者が使う音声読み上げ機能だけでは、SNSを追いきれない
・どれが正しい情報かわからない
特に視覚障害や聴覚障害のある方からは、“初動の遅れ”への不安の声がたくさんありました。
身を守れるかどうか
・肢体不自由のため、停電すると歩行がむずかしい
・車いすのため、避難所まで歩いて行けない
・災害が起きた時にスムーズに避難できるか不安
肢体不自由や内部障害のある方は、そもそも“避難そのものがハードルになる”ケースが多いという現実があります。
避難所でのトイレや寝る場所が不安
・オストメイトトイレやバリアフリーの避難場所があるか
・車いすが幅を取るので、避難場所で邪魔になってしまわないか
・発達障害があり、避難所でパニックにならないか
内部障害や難病をもつ方にとって、衛生環境は命に直結します。
また、見た目では分かりにくい精神障害や発達障害の方にとっても精神的な不安があります。
このように、災害時の「困りごと」は、障害の種類や生活環境によって大きく異なることがわかります。またアンケートでは、日常的に不安になっている災害について聞きました。
日本国内では、さまざまな災害が起きる可能性がありますが、その中でも一番は地震で次に停電や断水などのライフラインの災害が日常的に不安という回答でした。また、回答者の6割以上の方は2日以上不自由な生活を送った経験があることが分かりました。
Q自然災害やライフラインの事故の中で、あなたが「日常的に不安」に思っているものをすべて教えてください。(n=700 複数回答可)

Qこれまで、次の自然災害やライフラインの事故で2日以上不自由な生活を送った経験がありますか。(n=700 複数回答可)

※ミライロIDのアンケート機能についてはコチラ
※参考資料:「災害時のユニバーサルマナーチェックリスト」をダウンロードいただけます。
見えてきたのは、「日常のちょっとした工夫」が大きな安心につながるということ
また、日頃から災害に不安を持っている人たちが多い中、5割以上の人は災害に十分な備えをしていない、ということが分かりました。
Qあなたのご自宅では、自然災害やライフライン事故に備えて日頃から準備していますか。お気持ちに近いものを1つお選びください(n=700)

災害への備えと聞くと、「避難所の場所を確認する」「ハザードマップを見ておく」「防災グッズを用意する」など、さまざまな準備を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
一方で、今回のアンケートでは、そうした備えの必要性を感じつつも、日常生活の中で実行することの難しさについて、多くの声が寄せられました。
・重い荷物を運べないから、一度に防災用品を買いそろえることができない
・家が狭いので、災害用の備蓄スペースが作れない
・買っても使わないまま期限が切れてしまう
これは障害のある方に限らず、多くの生活者に共通する悩みです。
そこで重要なのは、「ローリングストック(消費しつつ補充する)」を意識することです。例えば、いつも使っている洗剤やティッシュ、衛生用品などを“少し多めに買っておき、使ったら補充する”というものです。
この方法なら、
・特別な準備はいらない
・収納スペースもいままで通り
・普段使いだから無駄にならない
というメリットがあり、障害のある方にとっても無理なく続けられます。

実際に、アンケートでもそうした工夫をしている方の声が寄せられていました。
・筆記用具、ごみ袋の常備、飲み水の常備、インスタント食品、缶詰など常備
・ 緊急時に持ち出しやすいよう薬をバニティバッグに入れている
・充電できる機器類を常備している
・聴覚障害者なので補聴器予備と1年以上分の電池をローリングストックしている
これらはどれも特別な道具を準備するものではありません。
“いつも使っている日用品”を少し工夫して備えているだけです。
しかし、この「少しの工夫」が、災害時には大きな安心につながります。
在宅避難を前提にした備えが大事
「ローリングストックを意識する」こととも通じますが、近年一部の自治体では、自宅が安全であれば「在宅避難」が推奨されるようになってきています。高齢者や障害のある方、子どもがいる家庭などでは、在宅避難のほうが安心して過ごせる場合も多いからです。
在宅避難で鍵になるのは、「家の中の環境をどれだけ整えられるか」です。
特に重要なのは、次の3つです。
① 清潔な状態を保つ
水が止まると、トイレが使えなくなるだけでなく、手洗いや歯磨き、入浴が難しくなります。携帯トイレやウェットシート、歯磨きシートなどの清拭用品、消臭スプレーなどが役立ちます。
② 衛生用品を切らさない
トイレットペーパー、生理用品、赤ちゃんのオムツ、介護用品などは、家族の状況に合わせて備えておく必要があります。
③ 使い慣れた日用品や食料、飲料などをストックしておく
アンケートでも、障害がある方の多くが、 「普段と違うものを使うと戸惑う」「使い方が変わると混乱する」という声がありました。 災害時こそ、使い慣れた日用品や食料、飲料などが安心を支えるのです。
暮らしの備えを“一緒に考えてくれる”心強い味方
今回のアンケート結果を踏まえても、日用品を使った防災対策は、多くの人にとって最も現実的で、続けやすい対策であることがわかりました。
しかし、
「何をどれくらい備えればいいの?」
「水が使えないとき、どうやって清潔な状態を保つ?」
「家族や障害特性に合わせるには?」
と悩む方は少なくありません。
花王が提供する「そなえーる 災害時に備える情報」サイトでは、いざという時に役立つ防災の知識や役立つ情報が紹介されています。
▼ そなえーる 災害時に備える情報サイト(花王株式会社のサイトへ移動)
例えば、
・水が使えないときの体や髪の拭き方
・電気やガスが停止したときの暑さ寒さ対策
・災害時に役立つ日用品
など、「今日からできる備え」が自然とイメージできる内容になっています。ぜひご覧ください。
“困りごと”に寄り添うことで、暮らしの安心は大きくなる
今回の「ミライロID」のアンケート機能を活用したアンケートでは、たくさんの困りごとが寄せられました。しかし同時に、日々の暮らしの中で備えられる工夫もあることが分かりました。こうした気づきは、障害の有無に関係なく、すべての人に役立ちます。
災害への備えは、完璧を目指す必要はありません。 今日の暮らしを少しだけ整えることで未来の安心が少しずつ積み上がっていきます。
あなたやあなたの大切な人にとって“ちょうどいい備え”を、ぜひこの機会に考えてみてください。




