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2021/01/04

バリアフリー法改正!学校のバリアフリーはどう進めるべきか

ミライロ

学校のバリアフリー化が求められる背景

障害のある学生の進学率は年々増加しています。障害学生は今後も増えることが予想される中で、 2016年には障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(通称:障害者差別解消法)が施行されました。障害者差別解消法では、行政や民間事業者等に対し、障害を理由とする不当な差別を禁止するとともに、合理的な配慮の提供を義務化しています(民間事業者の場合は努力義務)。また、2020年5月に改正バリアフリー法が公布され、バリアフリー基準適合義務の対象に公立小中学校が追加されました。学校は避難所となることも多く、教育施設としてはもちろんのこと、地域施設としてもバリアフリー化の推進が求められる場所です。また、学生だけでなく、教職員の方々の多様性も広がっています。これらの社会背景の基に、今後は各学校が、障害者を受け入れることができる環境整備を行っていくことが重要になります。

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教育の場だけではない学校のバリアフリー

特に小中学校は、地域の防災における主要な役割を持っています。災害時の避難場所、傷病者の搬送に係るヘリポート、仮設住宅の敷地等々。そこには、災害弱者と言われる、高齢者・幼児・妊産婦・障害者も押しなべて地域から集まってきます。防災倉庫が設けられ、寝具や緊急の食料が備蓄されている学校もあります。したがってすべての人が利用できる施設であることが重要です。学校のバリアフリーとは子どもたちの学習を保証するばかりでなく、地域の人々の「命」を守る生命の拠点であることを忘れてはいけません。また、地域のイベントやお祭り、選挙と地域コミュニティの拠点と言っても過言ではありません。人と人とを繋ぐ場所としての学校だからこそバリアフリーが望まれています。

学校のバリアフリー化の現状

法律の制定や各校の整備により、多機能トイレやエレベーター等の設置は徐々に進んできました。特に新築の学校や建替えがなされた学校においては、それらの設備が初めから設けられることが多く、校内のバリアフリー化が進んでいます。しかしながら、そういった学校であっても、障害のある学生の視点で見ると、見落とされている場所も多くあります。環境面において「障害当事者の視点だと実は不便を感じる」ほんの一例をご紹介します。

例1 食堂

食堂は一定の時間に人が集中することから、混雑による移動のしづらさが発生しやすい場所です。高等教育機関においては、食券販売機や調味料が置かれている棚・食器を返却する台の高さなど、環境面での課題が挙がりやすい場所でもあります。利用時に課題を感じてしまうことから、食堂利用を諦めてしまう学生も少なくありません。食堂は学生生活におけるコミュニケーションの場として重要な機能を果たすため、バリアフリー化が強く求められる場所です。

例2 点字ブロック

スロープの普及に伴い、スロープの前後に点字ブロックが設置される施設が増えてきました。しかし、階段とスロープが併設されている場合に、スロープには点字ブロックがあるが階段には無いというケースが見受けられます。階段に気づけない場合、つまづきや転倒などが起こる危険性があります。階段とスロープが併設されている場合に、距離が短い階段を選択するという視覚障害者の方もいます。障害当事者視点で必要な場所に点字ブロックが設置されているか、確認が求められる場所です。

例3 ごみ箱

校内環境を清潔に保つために必要なごみ箱。その色や形、置かれる場所等によって、実はバリアを生み出していることがあります。例えば、ごみ箱の下のレバーを押して蓋を開けるタイプのものは、車いす使用者にとって利用しづらさがあります。また、設置される場所によっては、通行を妨げ、衝突の危険性や移動のバリアを生み出します。

画像 このあと説明あり

下部にあるレバーを踏んで蓋を開けるごみ箱

これらの例は、教育との直接的な関連性は薄そうに見えるものの、毎日の学校生活を送る学生や教職員の方にとって大切な視点です。学校のバリアフリー化においては「点での施設整備」ではなく、「面として学校全体の環境」を捉えていく必要があります。

学校のバリアフリーを進める上で大切にしたい3つの柱

学校のバリアフリーを推進する上で、大切にしたい3つの柱があります。それは「環境」「意識」「情報」のバリアフリーです。この3つの柱はどれかだけで100点満点を目指すものではなく、相互に補い合うことで、多様な方々を受け入れる空間を作り出します。

①環境のバリアフリー

学校の屋内外において、アクセスが確保されていることや、必要な設備が安全に利用できることが求められます。学校施設は広い空間であり、設備も多岐に渡るため、優先順位をつけてバリアフリー化を行っていくために、まずは全体の現状把握が求められます。

参考:【施設改修時】バリアフリー視点での課題把握と優先順位のつけ方

環境面のバリアフリー化には、費用と時間がかかるのも事実です。また、バリアフリー化を進めたくても、歴史ある建造物のため、改修に困難を伴う場合もあります。そこで意識したいのが、残り2つの柱である「意識」「情報」のバリアフリーです。

②意識のバリアフリー

乗り越えることが出来ない段差や、聞き取りづらい放送など、一人では解決しづらいことも、誰かの手助けがあれば解決できるかもしれません。環境面のバリアがある場合に、意識のバリフリーで補うことによって、絆を深めるケースもあります。また環境面が整っている場合においても、災害時の避難などの場合においては、円滑な施設利用のために意識のバリアフリーが不可欠です。

③情報のバリアフリー

学校は広い施設に多様な機能を持つことから、バリアフリーマップ等での情報整備が重要になります。逆に言えば、情報のバリアフリーによって、複雑な空間構成のバリアを解消することができます。

写真 学内に設置されているマップ画像 バリアフリーマップ

バリアフリー動線や多機能トイレなどの情報を掲載したバリアフリーマップの例

参考:誰もがわかりやすい、キャンパスのサインデザイン

バリアフリーマップをWeb上でも発信していくことで、初めて訪れる方や地域の方なども事前に情報を得ることができ、安心して利用することができます。その他、現地に設置されたサインも学校の円滑な利用において重要です。

また、最近ではオンラインでの授業機会が増えてきており、環境的なバリアを気にせずに授業を受けられることができるようになった一方、情報面でのバリアが発生している場合があります。非常時においては、聴覚障害者や外国人などへの情報が無く、管理者も対応が出来ないという事態も見受けられます。情報保障の観点でも意識が求められます。

まとめ

安心して学べる機会をすべての方に提供するため、学校のバリアフリー化が今求められています。

避難所や投票所としても使われる学校は、教育だけでなく高齢化社会の重要なインフラです。学びの場が整うことは、日常的に学校を利用する学生や教職員だけでなく、地域や社会の可能性を広げることに繋がります。

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