ノウハウ 情報保障
2021年02月28日

障害がある方へのオンラインインタビューのススメ

笹川 楓子

新型コロナウイルスの流行により、様々なサービスがその形態の変化を余儀なくされました。

株式会社ミライロが運営する調査サービス「ミライロ・リサーチ※」も、例外ではありませんでした。対面でのユーザーテストやインタビューの実施が難しくなり、実施を延期、または中止になった調査もあります。

そんな中、会議や面談でもおなじみとなった、オンライン会議システムを用いたオンラインインタビューが主流となってきました。

本記事では、接触せずに障害のある当事者の生の声を聞くには?オンラインって障害のある当事者に優しくないのでは?そんな疑問にお答えいたします。

※ミライロ・リサーチの詳細はこちら

「オンラインインタビュー」のメリット

写真 オンラインインタビューイメージ

オンラインインタビューにはどんなメリットがあるのでしょうか。
その一部をご紹介いたします。

■遠方のモニターにも調査を実施できる

これまでは対面でお話しできるモニターにしか調査を依頼できなかったため、調査できる範囲やモニターの人数に限りがありました。特に、障害のあるモニターとなると、その母数は限られてくるため、要件の多いモニターに対面で調査を実施する場合、かなり出現率が低くなります。オンライン調査で全国に住む障害者を対象にできれば、その母数を増やすことが可能です。

■モニターの時間的制約が減り、対面よりも柔軟に参加できる

対面実施の場合、モニターには調査会場に足を運んでいただくため、前後の移動時間を含めた時間を確保していただかなければなりませんでした。オンライン調査であれば、お仕事や御用の合間を縫って参加していただいているモニターにとっても、前後の移動がなくなり、調査に参加しやすくなるため、モニター参加へのハードルを下げることができます。

また、公共交通機関の利用など、移動に不便を感じる方にとっては、気軽に参加できる手段と言えるでしょう。

■対面実施よりも、安価に、気軽に実施できる

オンライン調査であれば、インタビュー会場を抑えたりする必要はありません。参加者の交通費も発生しないので対面よりも安価に当事者の生の声を聴くことができます。

また、インタビュールームがなければなかなか難しかったインタビューの見学も、オンライン調査であれば空いた時間に気軽に参加することが可能です。

大前提として、オンライン会議システムに参加していただくにあたり、モニターにある程度のITリテラシーがあることが必要になりますが、それを除けばオンラインインタビューは新しい生活様式に合った調査手法であり、当事者・実施者双方にとって効率的な手段であると言えるでしょう。

障害のある方×オンラインインタビューでの留意点とは?

では、留意するポイントはどういったことでしょうか。

ポイントは「適切な情報保障」です。
今回は視覚に障害がある方と、聴覚に障害がある方への配慮の一部をご紹介します。

~視覚に障害がある方の場合~

音声による情報提供の徹底が必要です。

対面でのインタビューでも同様のことが言えますが、視覚に障害がある方に対して「これ、あれ、それ」などの指示語を使わないようにしましょう。

対面であれば、触ったり体験したりすることである程度内容を掴んでいただくことができますが、オンラインではインタビューアーの音声がほとんどの情報源となります。今、どんなものが見えているのか、どんな状況で、何について話しているのかを明確にすることが大切です。

写真 視覚に障害のある方のイメージ

~聴覚に障害がある方の場合~

よく聞かれるのは、聴覚障害=手話通訳によるサポートが必要ですか?という質問です。

勿論、手話通訳を必要とする方はいらっしゃるのですが、障害の程度や慣れているサポート方法により必要なサポートは異なります。必ずご本人のご要望をお伺いしたうえで、遠隔手話通訳や字幕を用いて当事者に情報を伝えます。

写真 遠隔手話通訳のイメージ

写真 遠隔文字通訳のイメージ

◇手話通訳、遠隔手話通訳、遠隔文字通訳について詳しくはこちら

現在では、様々なオンライン会議システムで字幕表示できる仕様になっておりますので、以下の記事をぜひご参考になさってください。

オンライン面接にて、遠隔での手話・文字通訳サービスを提供 ~テレビ会議や面接に課題を感じている聴覚障害者をサポート~

ウェブ会議システムとUDトークの連携

UDトークを使用して、Zoomに字幕をつける方法

写真 手話通訳のイメージ

 

まとめ

少しの配慮で、対面のインタビューよりも効率的に実施できるオンラインインタビュー。

なにより重要なのは、参加者である当事者の希望を聞くことです。

前述した通り、障害の程度や慣れているサポート方法によって、当事者のご要望は異なります。ご希望に合わせた情報保障で、インタビューのベースとなる話しやすい環境を整えましょう。

会議や面談のスタンダードとなりつつあるオンライン会議システムを活用して、当事者の声を気軽に聞いてみませんか?

株式会社ミライロが運営する「ミライロ・リサーチ」では、オンラインインタビュー調査もお受けしております。障害のある当事者に直接話を聞きたい方、まずは相談だけでもしたいという方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

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