目次
1.はじめに:株主総会における情報保障とは2.障害者差別解消法施行後の動向と情報保障のニーズ増加
3.株主総会における情報保障の取り組み例
4.まとめ:すべての株主に公平な情報アクセスを
はじめに:株主総会における情報保障とは
株主総会は、企業の経営方針や重要事項について株主が意思表示を行う、最も重要な意思決定の場です。役員の選任や事業報告の承認など、企業運営に関わる多くの事項がこの場で決定されます。そのため、すべての株主が議事内容を正しく理解し、自らの意見を形成することが求められます。
しかし、音声のみの情報提供では、聴覚障害のある株主にとって、内容の理解が難しい場合があります。こうした課題を解決するために、近年は手話通訳や文字通訳、音声認識などの「情報保障」をリアルタイムで導入する企業が増えています。これは単に福祉的な配慮にとどまらず、企業の説明責任や透明性の確保、そしてガバナンスの向上にも直結する取り組みです。
障害者差別解消法施行後の動向と情報保障のニーズ増加
2021年の改正障害者差別解消法成立以降、企業における障害者への合理的配慮提供の重要性がますます高まっています。これを背景に、株主総会における手話通訳や文字通訳などの情報保障サービスへの相談が増加しました。さらに、この改正法が2024年に施行された現在、企業は法令遵守だけでなく、多様な株主が公平に参加し、議事内容を正確に理解できる環境整備を推進するようになっています。
株主総会における情報保障の取り組み例
①受付対応(オンライン手話通訳)
タブレットやスマートフォンのビデオ通話機能を使って利用できる遠隔手話通訳サービスです。聴覚障害者と聴者が同じ場所にいる状態で、手話通訳者だけが遠隔地からビデオ通話を通して通訳を行います。事前予約が不要なため、株主総会当日に突然来訪された場合でも即時対応が可能です。なお、会場の通信環境や来場者数によっては、総会自体をオンライン手話通訳でまかなうのが難しい場合もあります。そのため、事前に通訳者派遣や他の情報保障手段と組み合わせて備えることが望まれます。

「オンライン手話通訳」の導入事例
② 手話通訳
手話を第一言語とする聴覚障害者に対して、会場内の音声情報をリアルタイムで手話に変換して通訳を行います。株主総会は専門用語や固有名詞が多く、また議事進行のスピードも速いため、高度な通訳スキルが求められます。そのため、事前に議事資料や専門用語集を共有し、内容を把握したうえで臨むことが重要です。株主総会には経験豊富な通訳者が配置されることで、より正確かつわかりやすい情報提供が可能となります。
「手話通訳」の導入事例
③ 文字通訳(要約筆記)
発言内容をパソコンでリアルタイムに文字化し、スクリーンや各参加者の端末に表示するサービスです。発言をほぼ同時に文字として確認できるため、聴覚障害者はもちろん、加齢や環境要因で聞き取りづらい方にも有効です。会場の規模や参加者の位置に関係なく情報が届くため、大規模株主総会での活用価値も高い手段です。当社では独自システム「captiOnline」を用いて、高い精度とスムーズな表示を両立しています。

「文字通訳」の導入事例
④ 音声認識システム
AIが発言を自動で文字化し、通訳者が必要に応じて誤変換を修正します。AI単独では固有名詞や専門用語の誤認識が起きやすいものの、事前に議事資料や用語を登録しておくことで大幅に精度を向上できます。また、人の手による補正を加えることで、より話し言葉に忠実な情報提供が可能です。この手法は、複数会場への同時配信や遠隔参加型の株主総会にも適しており、活用の幅が広がっています。
「音声認識システム」の導入事例
その他の導入実績は、下記の実績ページをご確認ください。
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まとめ:すべての株主に公平な情報アクセスを
株主総会は、企業の経営状況や方針を株主に報告し、意見を反映していく極めて重要な機会です。その場においてすべての参加者が等しく情報にアクセスできることは、株主の基本的な権利を保障するうえで不可欠です。手話通訳や文字通訳などの情報保障を導入することで、聴覚障害者も内容を正確に把握し、他の株主と同様に判断や意思表示が可能になります。
これは障害者への合理的配慮にとどまらず、企業の信頼性・社会的価値を高める姿勢そのものです。ミライロ・コネクトは、株主総会での情報保障を通じて、すべての株主が公平に参加できる環境づくりはもちろん、さまざまな場面で手話や文字によるコミュニケーションが取れる社会を実現してまいります。




